横浜市開港記念会館と
神奈川大学の関係

令和6(2024)年4月1日から、開港記念会館の管理運営は「横浜市中区」から「指定管理者」に変更されました。実は、その指定管理者こそが神奈川大学(株式会社神奈川新聞社、相鉄企業株式会社と共同で管理)。大学が歴史的建築物の指定管理者となるのは極めて珍しい事例です。ちなみに、古賀館長は令和6(2024)年3月まで神奈川大学の職員だったのだそう!
大学周辺の気になる施設を、
神大スタイル学生編集スタッフが
取材&レポートする本シリーズ。
第3弾として訪問したのは
「横浜市開港記念会館」です。
実は、神奈川大学と深い関わりがある
施設なのだとか……。
神大との関係にも着目しながら調査しました。
横浜開港50周年を記念して、大正6(1917)年7月1日に開館した公会堂。大正12(1923)年の関東大震災で時計塔と壁以外は焼失するも、昭和2(1927)年に復旧され、現在まで横浜の街のシンボルとして多くの人々に愛されてきました。
特徴的な時計塔は「ジャックの塔」の愛称で親しまれており、神奈川県庁の「キング」、横浜税関の「クイーン」とともに「横浜三塔」と呼ばれています。
そんな横浜市開港記念会館(以下、開港記念会館)の歴史的価値は高く評価されており、『大阪中之島公会堂』と並んで「大正期二大公会堂建築」に数えられ、平成元年には国の重要文化財に指定されました。
学生編集スタッフが調査したのは、そんな開港記念会館の内部。取材時(2025年6月)には一般未公開の地下フロアも含めて、古賀敬之館長とボランティアガイド『ジャックサポーターズ』の方に案内していただきました。
横浜市開港記念会館
館長 古賀 敬之さん
法学部 法律学科 3年
森 紫織さん
経済学部 経済学科 4年
山口 隼叶さん
経済学部 経済学科 3年
星野 美鈴さん
国際日本学部
国際文化交流学科 3年
酒井 瑞菜さん
令和6(2024)年4月1日から、開港記念会館の管理運営は「横浜市中区」から「指定管理者」に変更されました。実は、その指定管理者こそが神奈川大学(株式会社神奈川新聞社、相鉄企業株式会社と共同で管理)。大学が歴史的建築物の指定管理者となるのは極めて珍しい事例です。ちなみに、古賀館長は令和6(2024)年3月まで神奈川大学の職員だったのだそう!
館内ツアーは、2階広間にある国内最大級のステンドグラスからスタート。向かって左が「呉越同舟」、右は「箱根越え」で、開港当時の交通の様子を描いています。
そして中央には、復旧時に新たに描かれた「鳳凰」が。その真ん中には、横浜市き章「ハママーク」がデザインされています。
2階広間には、2枚の相対する絵画「開港前の横浜村」も展示されています。関東大震災で消失する前は壁画として制作されていましたが、油絵として復旧されました。
絵には開港前と大正時代の横浜の街が描かれており、前者からは横浜市歌に歌われている「むかし思えば とま屋の煙 ちらりほらりと立てりしところ」の様子を伺えます。
続いて1階と2階をつなぐ階段部分にある「黒船ポーハタン号」のステンドグラスを見学。嘉永7(1854)年に黒船が横浜の港に来航した様子を描いたステンドグラスで、色鮮やかな美しいガラスが、当時の横浜の人々が驚き、感動したであろう壮観な景色を表現しています。
ちなみに、黒船ポーハタン号の旗の色は、復旧前は白だったのだそう。ステンドグラスに限らず、復旧前後の小さな変化やその歴史的背景は、ボランティアガイドの方に細かく教えていただけます。
「黒船ポーハタン号」のステンドグラスをバックに結婚式の前撮りをしたり、大学の卒業式の日に袴で記念撮影をしたりする方もいるとのこと。レトロな雰囲気の写真を撮りたい方にぴったりだと思います!
八角形の形状が珍しい特別室は、現在は洋風のデザインになっているものの、開館当時は「和」の趣を感じさせる工夫が施されていたといいます。
300名弱を収容できる大きな講堂は、渋沢栄一や大隈重信をはじめ、著名な歴史上の人物も講演を行った由緒正しい場所。その歴史の長さを感じられる空間です。
教科書で学んだ偉人も使っていたと知り、ロマンあふれる場所だと感じました。
最後は、まだ一般未公開の地下フロアへ。1、2階部分とは異なり一見するとやや簡素な雰囲気ですが、壁からはマッカーサー率いるGHQの管理下にあった時代の「理容室の看板」が発見されるなど、こちらも歴史的に貴重な空間となっています。
また、授業や会議に使えそうな広い部屋もあり、古賀館長は「今後、活用の幅をどんどん広げていきたい」と話します。
看板は調査のために壁を削った際に偶然発見されたのだとか。実際に見て、横浜の歴史を長く見てきた貴重な建築物であることを改めて実感しました。
神奈川大学の前身である『横浜学院』は、昭和3(1928)年に創立しました。そして、大正6(1917)年に開館した開港記念会館は、大正12(1923)年の関東大震災を経て、横浜学院創立の前年である昭和2(1927)年に復旧しています。つまり、神奈川大学の始まりとほぼ同じ時期に建った建物なのです。
神奈川大学には、令和の時代における屈指のキャンパスといえる『みなとみらいキャンパス』がある一方で、その長い伝統を体現するような建築物は残念ながらありませんでした。しかし、開港記念会館はその役割を担ってくれます。
開港記念会館を、横浜の街のシンボルとしてだけでなく、神奈川大学の歴史を伝える施設としても発展させていきたい……そう考えたのが、指定管理者になったひとつの理由です。
神大生には、授業はもちろん、部活動やサークルのイベントなどさまざまな用途で開港記念会館を利用してほしいですね。実際に最近では、「横浜の運河〜変わる役割と町並み〜」という神大の非文字資料研究センターの企画展を実施したり、「開港記念会館 生誕祭」で神大のアカペラサークルが歌を披露してくれたりしました。
きっとみなさんからは、私たちには思いつかないアイディアが出てくるはず。ぜひ積極的に当施設に関わってほしいと願っています。
私はレトロなスポットが大好きなので、開港記念会館には興味がありましたが、訪問の敷居が高いと感じていました。でも、いざ訪れてみるとそんなことはなかったので、もっと多くの神大生に知ってほしいです。私も写真を撮りに絶対に再訪します!
横浜の象徴的な施設であることは知っていましたが、学生も活用できることを知り、もっと気軽に足を運びたいと思いました。
例えば、大学の社会連携活動を開港記念会館で行うといいかもしれません。神大生と地域の方々がここで交流するのは、とても有意義な活用方法ではないでしょうか。
開港記念会館が神大と関係があることを知らなかったので、とても驚きました!
私はゼミの授業で使ってみたいと感じました。イベントのスケジュールも積極的にチェックして、今度は友人たちと一緒に訪れたいです。
せっかく開港記念会館と神大との関係が深まったので、私たち学生が施設を盛り上げていけたらいいなと思いました。私も多くの方々に横浜に愛着をもってもらえるような企画を考えてみたいです。
受付時間:午前9時~午後8時
休館日:第2水曜(祝休日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日~1月3日)
私は横浜出身ですが、「ハママーク」がカタカナの「ハマ」を縦に描いたものだとは知りませんでした! ガイドの方の解説には意外な発見が多く、とても勉強になります。