フォトグラファーとカメラから眺める、
私の知らない神大キャンパス
カメラのレンズ越しに切り取ったキャンパスは、いつも見ているそれとはまったく別物みたいで不思議な気持ちになる。
私たちのいる場所が
ちょっとだけ
ドラマチックになる瞬間。
落ち着く場所、色、空気— もっと伝えたい
#物語のある写真
#エモいはつくれる
#撮り方で変わる
#やっぱり
#映え写真が撮りたい
今回の特集は、“写真”というテーマをピックアップ。撮影する対象は、私たちの日常の舞台である神大キャンパス。学生にとっては見慣れた場所だが「見方や目線を変えれば、いつもの風景も違って見える」と話すのは、撮影を担当してくれたKoichiさん。Instagramフォロワー数11.8万人超え、また3300万作品の中から『東京カメラ部10選』にも選出された注目のフォトグラファーだ。Koichiさんがレンズ越しにとらえた、神大キャンパスの“いつもと違う”魅力的な姿にきっとあなたも驚くはず。
『神大スタイル』は今号から、大きくリニューアル。キャンパス内外で配布される冊子だけでなく、より手軽・身近な存在“WEBマガジン”や“Instagram”にも展開。神奈川大学内の新しい発見や話題のコンテンツにスポットを当て、神大生の毎日がもっと楽しく、もっと意味のあるものに。
同じ形のものが同じ間隔で並んでいる“パターン化”された空間を、広角レンズを使ってすべて画角に収めている。どこか近未来的な雰囲気の一枚に。
「空間に色がないので、モデルには目を引く色の服を着てもらいました」(Koichi)
ガラスや金属、光沢のある石など、水たまりや水面のように風景を反射するものを活用すると、写真が単調になりにくい。撮影する際は、近くに金属製の手すりやベンチ、窓などがないか探してみよう。
特に反射する“面”がカーブしている場合は、独特な写り込みが生まれ、写真に深みが増す。
「タイミングが限られますが、雨上がりで面に水滴がついているのもとてもいいですね。水滴の一つひとつに景色が映り込み、より幻想的な雰囲気になりますよ」(Koichi)
もともと広くて開放的な空間だが、前景にグリーンをもってくることで、より奥行きを表現できる。この写真のポイントのひとつが、背景を白飛びさせないこと。
「屋内と屋外との明暗差が大きいため、モデルに合わせて明るさを調整すると、どうしても背景が白飛びしてしまいます。しかし、背景にまったく情報がなくなると味気ない写真になるので、あえてモデルが暗い状態で撮影しました。そうして背景をベストな状態で写し、もっと明るくしたい部分は後から編集で調整します」(Koichi)
逆光を活かした一枚。逆光では撮影できないと考える方は多いが、「シルエットを撮れるチャンス」。
撮影日はやや曇っていたので、モデルのシルエットの背景が白く、その形がより映えている。“逆光”も“曇り”も、うまく活かせれば撮影の味方になってくれる。
上から差し込む光の下に、黒い服を着たモデルを配置し、逆光を利用してシルエットとして写す。明暗差をうまく利用し、目線を誘導する“流れ”をつくりながら、独特な雰囲気を醸し出す一枚に。
「この場所を選んだ理由は、階段が前景になること、そして明暗差で“影遊び”ができることです」(Koichi)
ビルの高い階にグリーンがあると、現代風な雰囲気を醸し出す。このテラスがまさにそうで、天気がよければバックに富士山も見える、いわゆる“映える場所”。
撮影のポイントは、高い位置から広角レンズで撮影すること。階段の上から見下ろすように撮ると、“地上から離れた場所にある開放的なテラス”という空間の特徴をとらえやすい。
空から降り注ぐ自然光を活かした一枚。
「着目してほしいのは背景です。背景が黒いことで、光の美しさがさらに映え、またモデルの存在感も増しています。明暗の対比は常に意識しておきたい要素です」(Koichi)
吹き抜けと各階に並んだ通路を広角レンズで撮影してすべて画角に収めると、このような奥行きのある写真になる。「撮影時に気をつけてほしいのが、左右上下をシンメトリーにすること。この点を意識して撮ると、写真がぐっとスマートに。スマホで撮る際は、グリッド線の機能を活用するとバランスがとりやすくなりますよ。特に広角撮影する際は、少し対比がずれるだけでもアンバランスさが際立って台無しになってしまうので、十分に注意してください」(Koichi)
ストロボを使用し、人物の後ろから強い光を放つことでシルエットが水たまりに反射し、とても幻想的な雰囲気に。柱や窓枠などが格子状になっている場所は、構図のバランスがとりやすい。この写真では、雨で濡れた地面にその様子が反射し、より印象的に仕上がっている。また、夜の撮影だったため周りが暗く、建物の中の明かりだけが浮かび上がっているのもポイント。シルエットが水たまりに反射し、とても幻想的な雰囲気だ。
「光と影の差がはっきりしたメリハリのある写真を撮りたいなら、ぜひ夜の撮影にチャレンジしてみてください」(Koichi)
私たちも
こんな写真撮りたい!
#盛れて#映える#エモい
#チルな写真の撮り方、
教えてください!!
法学部
自治行政学科 2年
吉原 大翔さん
写真は趣味のひとつ。手軽なスマホでの撮影だけでなく、高校生のときから一眼レフカメラも使用。特に風景を撮るのが好きで、最近は河口湖で花火を撮影したそう。
- “味のある写真”を撮るには
どうしたらいいですか? -
写真に情報を足す工夫をするといいと思います。今回は、いまはあまり使われていない公衆電話を手前に配置することで写真にストーリー性をもたせました。さらに、公衆電話から奥の時計台へと視線を誘導させることで"エモさ"のある写真になったのでは?
Let’s try!
横浜キャンパスを象徴する、見慣れた時計台を撮影してみたが、どこか“ありきたり感”があるのが悩み。
レクチャーを
受けて…
小道具やモデルを効果的に配置することで、物語のある雰囲気に。今回は前景に公衆電話を配置し、奥行き感も増したユニークな写真に変化!
工学部
経営工学科 3年
渡邉 はるかさん
日頃から風景や食べ物などを撮影し、インスタグラムに頻繁に写真をアップしている。写真のクオリティーにはこだわりがあり、スマホもカメラの性能を基準に選定。
- 風景をうまく切り取るコツを
教えてください! -
前景・中景・背景という奥行きを意識し、“写真の空白を最小限にできる場所”を探すことがコツです。なかでも特にポイントとなるのが、写真の手前、つまり前景を埋めてあげること。これだけでも奥行きが生まれ、立体的な写真になります。
Let’s try!
満開の桜とカーブの形に惹かれ、道路を切り取って撮影。でも、桜が“なんとなくそこにある”写真になってしまった。
レクチャーを
受けて…
桜で写真の“額縁”をつくるような感覚で前景に配置することで、手前にデッドスペースがなくなり、奥行きと華やかさが格段にアップ!
クリエイター Koichiさん
岐阜県高山市出身のフォトグラファー。風景の中に人を入れた情景写真やPhotoshopを使ったアート作品を得意とし、「心に響く写真」をコンセプトの全国各地を奔走。2020年には、3300万作品から選ばれる東京カメラ部10選に選ばれ、小説『今夜、世界からこの恋が消えても』『君と最後に遺した歌』などの表紙の撮影も担当。デジタル、フィルムに限らず写真の楽しさを伝える活動をしている。
Kenkoアンバサダー/横浜市アンバサダー
撮影マナーと
SNS掲載にはご注意!
SNSはインターネット上のコミュニケーションツール。魅力的な写真を撮るスキルと一緒に、マナーやリテラシーもきちんと身につけて、安全にSNSを楽しもう。
よくあるトラブルとしては、不適切な写り込み。周囲の人の顔が特定できる形で写っていないか、漏れてはいけない情報が記されたパソコンの画面や書類などが写り込んでいないか、自宅が特定されるような情報が写っていないかなど、撮影時と投稿時に必ず確認しよう。
撮影した写真をSNSにアップする際には、たとえ友人であったとしても必ず事前に了承を。なお、隠し撮りは肖像権の侵害にあたる可能性が高いので、絶対にNG。
SNSとスマホカメラが急速に普及し、誰もが気軽に情報発信できる昨今、マナー違反によるトラブルや炎上も後を絶たない。そして、その影響は想像しているよりもずっと大きいもの。SNSを楽しく利用するために、今回紹介した例などに注意して発信することを常に意識しよう。