ゼミ・研究室探訪

ゼミ・名称

食品美容科学研究室
(野嶽勇一研究室)

学部・学科

化学生命学部 生命機能学科

研究テーマ

食品機能、乳酸菌・美肌菌、腸内環境、インナービューティー、スキンケア

3年生は、生物学や実験の基礎知識を学ぶことからスタート。その後、研究室で取り組む6つのテーマのなかから関心のあるものを選択し、自身の研究計画をまとめた企画書の発表会を行う。4年生からは、計画に沿って本格的な研究を進める。

身近な「食」と「美容」に寄与する研究
自分の研究が商品化につながる可能性も

野嶽勇一研究室では、私たちの日常生活になじみのある「食」と「美容」に深く関係するテーマを扱っている。人間の体に存在する微生物(常在菌)の観点から、健康や美容に役立つ食品を研究しているのだ。
「例えば、一般的によく知られている乳酸菌やビフィズス菌は、腸内にいる常在菌の一種です。これらは有用菌と呼ばれ、数を増やしたり、活性化したりすると、健康に良い作用をもたらしてくれます。私たちは、そんな有用菌の働きを助ける食品、もしくは食品成分を研究しています」

研究室で取り組む研究テーマのひとつに、「未熟マンゴー」のエキスの活用がある。
「成長過程で間引きされた未熟マンゴーのエキスが、腸内の有用菌を増やしたり、アトピー性皮膚炎などの皮膚の炎症を抑えたりする可能性を調べています。マウスを使った実験ではすでに効果が認められており、サプリメントや基礎化粧品として商品化することも視野に入れて、さらに研究を進めているところです」
未熟マンゴーは、産業廃棄物として捨てられている現状がある。この研究が形になり、有効活用できるようになれば、SDGsの観点でも大きな成果を得られるだろう。

ほかにも、泡盛をつくる過程で生じた蒸留粕から腸内環境の改善に役立つ成分を抽出したり、美肌菌(肌を健やかに保つ常在菌)を採取して培養し、再び肌に戻す「美肌菌戻し法」を確立して特許を取得したりといった実績もある。しかも、いずれの研究も商品化済みだ。
このように一部を抜粋しても、野嶽研究室が社会的注目度の高いテーマや世界的課題に密接に関わる研究に取り組んでいることが伝わるのではないか。

また研究の性質上、食品や化粧品のメーカーをはじめとした企業との共同研究の機会に恵まれているのも特徴だ。そのため、野嶽先生の下で学んだ学生は、食品・化粧品に関わる業界に就職するケースが最も多い。つまり、研究室生の多くが在学中から卒業後の働き方のイメージを具体的につかんでいることがわかる。
さらに、自身の卒業研究や努力が商品化につながる可能性が大いにあるのも、モチベーションの向上に寄与するはずだ。

そんな野嶽研究室で大切にしているのが、プレゼンや小論文だという。
「学生のみなさんには、研究活動を通して、結果に基づいてものを考える力を身につけてほしいと考えています。それも表面だけをなぞるのではなく、奥行きのある考察ができるようになってほしいですね。そして、自分の考えを適切な言葉を選んで発信できるようになれば、間違いなくどんな業界でも重宝される社会人になれるでしょう。
プレゼンや小論文は、そうした力を養うのにうってつけのトレーニングだと考え、積極的にとり入れています」

「生活につながりのある研究」
ならではの楽しみを感じられる!

「腸内フローラ」や「美肌菌」というワードを耳にしたことがある方は多いはず。野嶽研究室では、そうした近年特に高い注目が集まる「常在菌」に着目し、その働きを最大化する食品や基礎化粧品を研究。私たちの生活に関わりの深い食や美容の分野で、有用な研究成果を出している。
また、雰囲気のよさも野嶽研究室の魅力! 学生同士の仲がよく、ケーキを用意して誕生日を祝ったり、みんなで研究室に集まってランチを楽しんだりもするそう。

Voice_01

高橋 奈々恵さん
工学部 物質生命化学科 4年生

日本化粧品検定1級を取得し、将来は化粧品や食品に携わる職業に就きたいと考え、まさにその分野の商品開発に役立つ研究ができる当研究室を志望しました。現在は、未熟マンゴーの種子成分に抗炎症作用が認められるかを検討しています。

Voice_02

松元 龍之介さん
工学部 物質生命化学科 4年生

もともと食品に興味があったこと、また食品の新たな活用方法を模索する研究に惹かれたことが研究室に入った理由です。泡盛蒸留粕の腸内環境改善機能を健康食品に応用し、人々の健康寿命の延伸に繋げるべく研究しています。

意外な一面を発見!?

実は私、
ドラマ通
なんです!

ドラマが大好きで、毎クールたくさんの作品を観ています。仕事の都合でリアルタイムの視聴はなかなか難しいので、録画しておき、忙しい合間を縫って2倍速でチェックしています(笑)。

Column

食事の際は「お腹の微生物を喜ばせてあげること」を意識して

「健康的な食生活を目指して」といわれても、どうしていいかわからない方は多いのではないでしょうか?そこで私から送るアドバイスは、「お腹の微生物を喜ばせてあげる」という意識をもって食事を考えることです。私たちのお腹のなかには、腸内細菌と呼ばれる多種多様な微生物が生息しています。その微生物の中の有用菌たちの栄養になる食品を積極的に摂ると、自然と体調が整っていくはずです。
具体的には、ヨーグルトやキムチをはじめとした発酵食品や、ごぼうなどの食物繊維をたくさん摂るといいでしょう。なかでも納豆は、発酵食品でありながら食物繊維も豊富に含んでおり、おすすめの食品ですよ。
また、食べるタイミングに配慮するのもポイント。寝る直前の食事は避け、逆に空腹状態の朝はしっかりと食べてください。
お腹の微生物を大事に育てる意識をもって、健康づくりに取り組んでみましょう。

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